鼻腔・口腔の疾患予防

参考にして頂きたいこと

これが現実!咬み合わせの生理的変化!!

 むし歯の氾濫時代が過ぎて久しいが、当医院における新規患者さんのケースを診ても、歯科における疾病概念が完全に変わってきていることを実感する。来院理由の主訴として「歯が欠けた、顎が開きにくい、家族から歯ぎしりがひどいといわれた」など様々である。このような患者さんの口腔内にみられる共通事項として「歯並びが悪い、上下の咬み合わせが良くない、歯の干渉が強い」などである。要は舌を含めた口腔周囲筋のよる力のコントロールが上手くいかないために、機能的な問題が構造的な問題を引き起こしているのである。

変えろ!口呼吸から鼻呼吸へ!
 写真右上は子供の初診時とトレーニング経過途中であるが、身体が出来上がるときに機能を改善できなければ、大人になって左上の写真のような状態になり、歯の生理的な移動と重なり、成人になっても歯並びが更に悪くなり、咬み合わせの乱れの代償が、頸椎や体幹のバランスを乱すことに繋がっても不思議ではない。
 10歳前後の歯列の乱れ、咬み合せの不具合がある場合の当医院の矯正治療の考え方は、頭蓋顔面発育障害の一つの現われが口腔内に表れている捉え、呼吸のチェックから診査を行います。正しい呼吸は横隔膜を使った鼻呼吸ですが、来院される多くの子供達は口呼吸です。口呼吸になっていると、常に舌が口蓋に貼り付いていないので、口蓋骨が正常に発育しません。正常な口蓋ができるには舌が口蓋に入る必要があります。舌が口蓋に挙がるには下顎骨のサポートが必要であり、咬筋と側頭筋を含めた咀嚼筋の発達が重要になります。しかし現代は軟食傾向にあるので咀嚼によって筋肉が鍛えられていない状況が考えられ、筋肉が発達していないので舌が口蓋から離れ、舌が口蓋の成長をサポートできなくなり上顎、口蓋が劣成長となり、歯並びが上顎骨に収まらなくなります。更に上顎の歯並びが乱れているお子様に共通してみられる所見として鼻が詰まる傾向があります。これはどうしてでしょうか?単なる偶然なのでしょうか?理由はあります。



 一日3回毎食後に歯ブラシで磨いているとのことですが、動画を見て頂ければお分かりの通り、歯肉縁上の歯面及び被せ物周囲にはべったりとプラーク(歯垢・細菌バイオフィルム)が付着しています。むし歯、歯周病の発症、進行に細菌が関与していることは疑いの余地がありません。磨いていることと、磨けていることの違いをよく理解してください。手用歯ブラシを使って上手く磨けない方が電動歯ブラシ、超音波歯ブラシを使ってみたところで綺麗には磨けません。その理由は正しい歯ブラシの毛先の使い方をご存じないからです。

鼻うがいの勧め

鼻うがい4つのメカニズム

  1. アレルギー原因物質や病原体(ウィルスなど)を洗い流す。
  2. 鼻腔と鼻奥の上咽頭粘膜の線毛上皮の働きを向上させる。
  3. ウィルスの増殖を抑制する。
  4. 粘膜のむくみを軽減する。
    免疫細胞が豊富で炎症を起こしやすい上咽頭まで鼻うがいでしっかり洗浄する。(口からのガラガラうがいでは上咽頭の洗浄はできない。)

臨床研究報告

  • 鼻うがいでウィルス性感冒の期間が2割短縮、家庭内感染が2/3に減少(Ramalingam S.et al.Sci Rep 2019)
  • 鼻うがいで新型コロナ重症化率が1/8に減少(Baxter AL.et al.Ear Nose Throat J 2022)


 新型コロナウイルスの潜伏期間は平均5日間(4~7日)で、インフルエンザ(1~2日)にくらべてかなり長く、ウィルスが体内に入って増殖するまでには比較的時間的猶予があるといえます。そこで、空気を媒介して上咽頭に侵入した新型コロナウィルスが、粘膜上皮細胞で増殖する前の段階で塩水の鼻うがいを行うことで、ウィルス増殖を未然に防ぐことができるのではないか、という推論が成立するのです。

 尚、上咽頭は、体内に取り入れられた空気の最初の通り道であるとともに、空気の流れの向きが変わる場所にあたるため、空気中のウィルスや細菌がもっとも付着しやすく、慢性的に炎症を起こしやすい宿命にあるのです。(日本病巣疾患研究会 堀田修 理事長)

新型コロナウイルスの予防は3つの愛