むし歯の氾濫時代が過ぎて久しいが、当医院における新規患者さんのケースを診ても、歯科における疾病概念が完全に変わってきていることを実感する。来院理由の主訴として「歯が欠けた、顎が開きにくい、家族から歯ぎしりがひどいといわれた」など様々である。このような患者さんの口腔内にみられる共通事項として「歯並びが悪い、上下の咬み合わせが良くない、歯の干渉が強い」などである。要は舌を含めた口腔周囲筋のよる力のコントロールが上手くいかないために、機能的な問題が構造的な問題を引き起こしているのである。
一日3回毎食後に歯ブラシで磨いているとのことですが、動画を見て頂ければお分かりの通り、歯肉縁上の歯面及び被せ物周囲にはべったりとプラーク(歯垢・細菌バイオフィルム)が付着しています。むし歯、歯周病の発症、進行に細菌が関与していることは疑いの余地がありません。磨いていることと、磨けていることの違いをよく理解してください。手用歯ブラシを使って上手く磨けない方が電動歯ブラシ、超音波歯ブラシを使ってみたところで綺麗には磨けません。その理由は正しい歯ブラシの毛先の使い方をご存じないからです。
新型コロナウイルスの潜伏期間は平均5日間(4~7日)で、インフルエンザ(1~2日)にくらべてかなり長く、ウィルスが体内に入って増殖するまでには比較的時間的猶予があるといえます。そこで、空気を媒介して上咽頭に侵入した新型コロナウィルスが、粘膜上皮細胞で増殖する前の段階で塩水の鼻うがいを行うことで、ウィルス増殖を未然に防ぐことができるのではないか、という推論が成立するのです。
尚、上咽頭は、体内に取り入れられた空気の最初の通り道であるとともに、空気の流れの向きが変わる場所にあたるため、空気中のウィルスや細菌がもっとも付着しやすく、慢性的に炎症を起こしやすい宿命にあるのです。(日本病巣疾患研究会 堀田修 理事長)